鈴木唯人「遅れて合流した」ハットトリックの前にあったもの

2026.09.11 鈴木唯人

リーグ公式が2026年9月10日、鈴木唯人のインタビューを掲載した。開幕節のハットトリックについて聞かれた鈴木の答えは、ゴールの話から始まっていない。

その前の3試合で、ゴールもアシストも無かった、という話から始まっている。

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現地はこう書いた

開幕節のヴェルダー・ブレーメン戦(4-1)でハットトリックを決めたことが、どれだけ特別だったかを聞かれている。

In the three games before the Bundesliga season started, I hadn’t scored a goal or got an assist. So, I told myself it was about time I got among the goals, and then I went and scored a hat-trick straight away.

(ブンデスリーガが開幕する前の3試合で、自分はゴールもアシストも取れていませんでした。だから、そろそろゴールに絡まないといけないと自分に言っていました。そうしたら、すぐにハットトリックを決めました。)

チームが公式戦5戦5勝で来ていることについては、こう答えている。

It’s true that we’ve made a really good start to the season. I joined the team a little later than everyone else, but I think what we worked on in pre-season and at the training camp is now paying off on the pitch.

(本当に良いスタートを切れているのは事実です。自分はみんなより少し遅れてチームに合流しましたが、プレシーズンと合宿でやってきたことが、いまピッチで実を結んでいるのだと思います。)

今季の目標を聞かれたときの答えが、この記事でいちばん具体的である。

Rather than looking too far ahead, our focus is on winning the two games before the international break. How we go into that break will shape how the rest of the season develops, so right now I’m concentrating fully on the next two matches.

(先を見すぎるよりも、国際Aマッチ期間の前の2試合に勝つことに集中しています。どういう状態で中断に入るかが、残りのシーズンの展開を決めることになるので、いまは次の2試合に完全に集中しています。)

クラブの立ち位置についても語っている。

To be honest, we’re not a club with the huge financial resources that the really big clubs have.

(正直に言えば、本当に大きなクラブが持っているような巨額の資金力は、うちにはありません。)

日本での知名度の話では、堂安律の名前を挙げた。

Freiburg are known in Japan as the club Ritsu Dōan played for over three years. Ritsu is an outstanding and well-known player, and I think a lot of people first got to know Freiburg through him.

(フライブルクは日本では、堂安律が3年以上プレーしたクラブとして知られています。律は優れた、よく知られた選手で、多くの人が彼を通して初めてフライブルクを知ったのだと思います。)

欧州に出たときのことを振り返る箇所には、うまくいかなかった時期の話も入っている。

Things didn’t go perfectly at the start in France [on loan at Strasbourg in 2023], but that was also a valuable experience for me.

(フランスでの最初は完璧にはいきませんでしたが、あれも自分にとって価値のある経験でした。)

出典: Freiburg’s attacker Yuito Suzuki on his hat-trick heroics, aims for the season and fans in Japan(ブンデスリーガ公式・2026年9月10日)

それがどういう意味か

この選手は、自分の状態を1試合の単位で見ていない。

ハットトリックについて聞かれて、最初に出てきたのが「その前の3試合は無得点だった」である。3点取った試合の話をしているのに、比較の対象がその手前の3試合に置かれている。評価の単位が、試合ではなく期間になっている。

同じことが目標の答え方にも出ている。順位や得点数ではなく、「国際Aマッチ期間の前の2試合」という区切りで話している。中断前の2試合とは、9月12日の第3節ボルシア・メンヒェングラードバッハ戦と、その次の第4節である。

そしてこの区切りの取り方は、実際の結果とも噛み合っている。開幕節は3得点。第2節のパーダーボルン戦(1-0)は、クラブ公式の記録では81分に後藤啓介と交代して退いており、得点には絡んでいない。2試合で3得点という数字は、ならしたものではなく、1試合に寄っている。本人が「あのレベルのパフォーマンスを継続したい」と言っているのは、その偏りを自分で把握しているからだと読める。

「遅れて合流した」という言葉も、そのまま流せない。プレシーズンの成果で勝てていると言いながら、自分はそのプレシーズンに遅れて入った、と断っている。チームの好調を自分の手柄にしない言い方であると同時に、自分の仕上がりはまだチームの水準に追いついていない、という自己申告にもなっている。

カンファレンスリーグ・プレーオフのモーターウェル戦(アウェイ・3-1)を見ると、無得点無アシストの3試合の中身が少し分かる。クラブ公式の試合レポートによれば、61分に鈴木がヤニク・エンゲルハルトを裏へ走らせ、その突破がペナルティエリア内でのファウル、レッドカード、PKにつながっている。アシストには記録されない仕事である。本人が数える「ゴールもアシストも無かった」の中に、これは入っていない。

何がまだ分からないか

「遅れて合流した」の具体的な時期は、クラブ公式にも出ていない。昨季は欧州リーグ決勝の前に鎖骨を折っており(リーグ公式)、その影響なのか、別の理由なのかは書かれていない。本人の言葉だけがある。

中断前の2試合という区切りの答え合わせは、まだできない。第3節のグラードバッハ戦は9月12日15時30分キックオフ、エウロパ・パルク・シュタディオン(クラブ公式)。クラブ公式はこの試合に勝てばブンデスリーガ開幕からの連勝がクラブ記録になると書いている(過去に開幕から3連勝したことがない)。その2試合が終わったときに、本人の言う「継続」が数字として出ているかどうかが、この発言の検証になる。

ストラスブールでの「完璧にはいかなかった」が具体的に何を指すのかも、この記事では語られていない。

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