関根貴大が倒された23分、監督「全員PKだと分かっている」

2026.09.11 関根貴大
Hoefsloot Grant Popovic Courtney-Perkins Garuccio Lacey Hollman Akon Quintal Sekine Sunday
シドニーFCの先発 4-4-2 出典: シドニーFC公式の先発表。左右の配置は公式に明示がないため、表記順に並べている

9月9日、シドニー郊外のジュビリー・スタジアム。豪州カップ準決勝でシドニーFCはメルボルン・ビクトリーに0-2で敗れ、決勝を逃した。

内容は逆だった。クラブ公式の表現を借りれば、シドニーは「開始から終了までほぼ試合を支配した」。その最前線で90分を戦い、3度ゴールに迫ったのが、7月に加入したばかりの関根貴大である。

現地はこう書いた

シドニーFC公式の試合レポートは、関根の場面を試合最初の決定機として記録している。

Sydney FC’s first major opening arrived in the 23rd minute when Takahiro Sekine rose to meet a lofted ball into the area, sending his header narrowly over before being heavily challenged by the Victory goalkeeper, with strong penalty appeals waved away.

(シドニーFCの最初の大きな好機は23分に訪れた。関根貴大がボックスへの浮き球に飛び込んでヘディングし、わずかに枠を越えたあと、ビクトリーのGKに激しく倒されたが、強いPKの訴えは退けられた。)

同じレポートは、44分に関根が右から入れたクロスをグラントが頭で合わせて枠のわずか外に外したこと、80分には関根がパスに抜け出してボックスに持ち込みながら、シュートがクロスバーを越えたことも書いている。

出典: Brave Sydney FC Bow Out After Dominant Semi-Final Display(シドニーFC公式)

試合後、パトリック・キズノルボ監督は同じページに載った会見でこう言っている。

We shouldn’t have lost the ball for the first goal and they punished us on the counter. Then we had a penalty denied which, for me, I think we all know was a penalty, and then the second goal comes from a deflection.

(1点目はボールを失うべきではなかったし、カウンターで罰せられた。そのあとPKを取ってもらえなかった。私からすれば、あれがPKだったことは全員が分かっていると思う。そして2点目は当たって入ったものだ。)

Victory didn’t create a lot. We created more and I don’t think Gus really had to make a save, so it’s difficult to walk away losing a game where you feel like you’ve dominated for large periods.

(ビクトリーは多くを作らなかった。作ったのは我々のほうで、ガス(GKのヘフスロート)がセーブらしいセーブをする必要はなかったと思う。長い時間支配したと感じている試合を落として帰るのは難しい。)

監督は「あのPK」がどの場面かを名指ししていない。ただし、クラブ公式の試合レポートがPKを訴えた場面として挙げているのは23分の1つだけで、それが関根の場面である。

それがどういう意味か

関根の加入は7月2日、3年契約、背番号14。クラブ公式の発表文は、浦和レッズで400試合以上・キャプテンを務めた経歴と、2度のAFCチャンピオンズリーグ制覇、2度のクラブワールドカップ出場を並べ、彼を「日本サッカーのアイコン」と呼んだ。

出典: Sydney FC Sign Japanese Football Icon Takahiro Sekine(シドニーFC公式)

そのとき、キズノルボ監督は関根の汎用性を採用理由の中心に置いていた。

What makes him even more exciting is his versatility. He can play across either wing, at full-back on both sides or through midfield, giving us outstanding flexibility while adding quality, intelligence and leadership to the squad.

(さらに面白いのは彼の汎用性だ。どちらのサイドでも、両サイドのSBでも、中央のミッドフィールドでもプレーできる。それが我々に並外れた柔軟性を与え、質と知性とリーダーシップを加えてくれる。)

ところがこの準決勝で、クラブ公式の先発表が関根を置いたのは最前線の2人のうちの1人だった(デビュー戦の新加入FWオリオラ・サンデーと並ぶ位置)。サイドでもSBでもなく、ゴール前である。実際に関根が関わったのは、ボックス内でのヘディング、右からのクロス、そしてボックスへの持ち込みだった。31歳で加入した「汎用性のある選手」が、2か月でゴールに最も近い場所を任されている。

もう1つ。この試合はシドニーにとってAリーグ開幕前の最後の公式戦だった。キズノルボ監督は会見でこう述べている。

We’ve got a few friendlies organised now as we continue building towards Round One. But tonight is disappointing. I told the players that. This is another occasion where we’ve walked away empty-handed and it doesn’t feel great.

(これから親善試合をいくつか組んでいて、第1節に向けて積み上げを続ける。だが今夜は失望している。選手たちにもそう伝えた。手ぶらで帰る機会がまた1つ増えたということで、いい気分ではない。) 関根が加入して最初に見た景色は、支配して負ける試合だった。

何がまだ分からないか

  • 23分の場面が本当にPKだったか。これを判定できる映像を、公式の範囲では確認できていない。分かるのは「クラブ公式のレポートがGKに激しく倒されたと書いた」ことと「監督がPKだったと述べた」ことまでである。当事者の一方の見方であることは差し引く必要がある。
  • 関根の起用位置がこの試合限りなのか、開幕以降も続くのか。先発表の表記順から読める最前線という位置が、監督の言う「汎用性」の運用の1つなのか、それとも定位置になりつつあるのかは、1試合では判断できない。Aリーグ開幕節の先発表を見れば答えが出る。
  • 関根自身の言葉。この試合のクラブ公式の会見記事に関根のコメントは載っていない。加入時の「新しい挑戦だ」という言葉以降、彼が豪州での2か月をどう見ているかは、まだ公式には出ていない。