貴田遼河、途中出場34分の中の1点が24年止まっていた記録を動かした
3月1日、アルヘンティノス・ジュニオルスはホームでバラカス・セントラルと1-1で引き分けた。10分に失点して追う展開になったこの試合、後半途中から出場したFW貴田遼河が90分に同点ゴールを決めている。東京生まれ(2005年)の貴田は、同年1月25日にアルヘンティノス・ジュニオルスでトップチームデビューしたばかりの21歳。半年以上が経った今になってこの試合を取り上げるのは、当時は現地報道でしか伝わっていなかったこの得点が、リーガ・プロフェシオナル自身が発行する公式データ資料で裏付けられたからである。
リーガ公式データが刻んだ「34分」と「90分」
出典: LPF Data - Fecha 8(Torneo Apertura Mercado Libre)(リーガ・プロフェシオナル公式・Opta/Stats Perform提供データ)
この試合の公式スタッツシートには、得点者として「RyogaKida(90’)」、対するバラカス・セントラルの先制点を「RodrigoInsúa(10’)」と明記されている。さらに選手起用のデータでは、途中投入されたジーノ・インファンティーノ、貴田、ファクンド・ハイニコスキの3人がそろって「(34)」、つまり出場時間34分と記録されている。この試合は後半アディショナルタイムの90分+αまで続いたとみられ、逆算すると貴田がピッチに入ったのは56分前後だったことになる。奇しくも同じ56分には、先発していたラウタロ・ジャッコネとレアンドロ・フェルナンデスの2人が交代でベンチに下がっており、貴田はこの入れ替えのどちらかの枠で投入された選手の1人である。
24年ぶりという数字の重み
出典: ESPNアルゼンチン(2026年3月1日21:35配信)
ESPNアルゼンチンはこの得点を「El delantero se convirtió en el primer jugador japonés en marcar en la máxima categoría en más de dos décadas」(このFWは、20年以上ぶりにアルゼンチン最上位カテゴリーで得点した最初の日本人選手になった)と報じ、前例として2001年9月23日、ボカ・ジュニオルス時代の高原直泰がラヌースを相手に決めたゴール(6-1)を名指しで挙げている。ESPNによれば、この間にウラカンでプレーした加藤ユウスケ(2006〜2008年)を挟んで、貴田はアルゼンチンのプロサッカーに参加した3人目の日本人選手という位置づけになる。
公式データが伝える数字そのものは「34分」「90分」という、感情の読み取れない記録でしかない。だが、2001年の高原以来24年あまり誰も塗り替えなかった空白を、途中出場の34分間という短い持ち場の中で動かしたという経緯を重ねると、見え方は変わってくる。先発でフルタイムを戦った末の得点ではなく、後半途中から入った選手が与えられた短い時間の中で結果を出したという点は、公式記録の数字だけでは拾いきれない部分だろう。この一戦以降、貴田はクラブ公式・リーガ公式のいずれにも個別の言及がなく、次のアピールの機会は今後の出場を待つことになりそうだ。
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